心はプログラムできるか

フェロモンに基づく蟻の行動から話が始まる。 餌集めで、個々の蟻はフェロモンの多い経路を選択する、という単純なアルゴリズムに基づいて振る舞う。結果として最短経路にかなり近い経路を選択するというもの。 専門的にはACO(ant colony optimization)と呼び、巡回セールスマン問題等に有効であることが知られている。

利己的行動と利他的行動の考察(第5章)も面白い。 協力行為について生物学的な裏付けを考える章である。 血縁や遺伝子から説明を試みるもの(ハミルトン)、 ゲーム理論シミュレーションで「しっぺ返し戦略」の成績の良さから利他行動は利己行動から派生するとするもの(アクセルロッド)、 そしてマルチレベル選択(ソーバー&ウィルソン)と、各説をコンパクトにまとめ、それでいて要点は押さえている。

この他にもラングトン(人工生命の創始者とされる)のライフゲームや、言語の進化、感情を持つロボットなど、さまざまなテーマを取り上げているので、知的興味をかきたてられるであろう。

200ページの新書であるが、内容は盛りだくさんで、じっくり読む価値がある本である。各章末に掲載されている参考文献も、深く学ぶ手助けとなるであろう。

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